労務管理用語集:は行
は行
配置管理
企業活動に必要な個々の職務に、それを担当すべき人を割り当てることをいう。 配置が管理として行われるようになったのは、労働力の有効活用を考える上で、職務分析の発達により職務内容やそれを行う資格要件が明らかにされ、また職業適性テストの方法が科学的に発達するようになり、職務と人との結びつきを合理的・科学的なものに近づけることができるようになったからである。
配置転換
広い意味では、昇進・昇格、職種変更、職場や勤務地の変更などといった企業内における期限のない人事異動のすべてを指し、狭い意味では、企業内における職場や勤務場所の変更のみを指す。
ハロー効果
ハローは「後光」の意味。 考課者に現れる評価誤差の一つであり、何か一つがよいと何もかもよく見えてしまう傾向を指す。
範囲職務給(レンジ・レート)
単一職務給(シングル・レート)に対して用いられる。 1つの職務に対して一定の幅(レンジ)のある職務給を設定するという方式。 単一職務給(シングル・レート)では、同じ職務をしている限り同じ賃金しかもらえないが、範囲職務給(レンジ・レート)の場合は、最初は一定の範囲のうち最低であっても、熟練度や仕事ぶりによっては、最高のところまで上がっていくことができる。
ビジネス・キャリア制度(職業能力習得制度)
経済のソフト化、サービス化に伴いホワイトカラーが増大する中で、厚生労働省が支援するために始めた教育訓練制度。 平成6年より「人事・労務・能力開発」、「経営・財務」の2分野が実施段階となり、最終的には「法務・総務」「広報・広告」など10分野についてカバーする計画である。
ビジネス・ゲーム
経営者・管理者の管理能力の向上、意思決定能力の訓練など、広範囲の経営スキルの開発をねらった研修の一方法。 経営のモデルを用い、それに沿って経営成果を競い合う。
ヒューマン・アセスメント
職制上の上司ではない複数のアセッサーが心理学を応用した一定の演習課題を通じて参加者の隠れた能力を観察評定することである。
評定誤差
考課者が無意識のうちに陥る誤りをいう。 主なものにハロー効果、寛大化傾向、中心化傾向、対比誤差などがある。
複線型雇用管理(コース別人事管理制度)
複数の職掌(総合職、一般職、事務職など)を設定し、賃金や昇進などの処遇を分けて雇用管理を行うこと。 複線型の雇用管理を行うことにより、採用から教育訓練、職務配置、昇進・昇格、賃金体系、福利厚生などを職掌別(コース別)に設定できるため、人事の育成・活性化の効率的運用ができる。
ブレーン・ストーミング
小集団によるアイデア発想法の一つ。 参加メンバー各自が (1)他人のアイデアを絶対に批判しない。 (2)アイデアは自由奔放なものほどよい。 (3)アイデアは質より量、多ければ多いほどよい。 (4)他人のアイデア便乗歓迎。 などの一定のルールの下にアイデアを出し合い、後からこうしたアイデアを整理しまとめあげていく集団的思考法、発想法のことである。
フロー型人材・ストック型人材
フロー型人材とはパートタイム労働者などの流動的労働者を、ストック型人材とは終身雇用的な基幹労働者を指す。 雇用を人件費という費用面から考えると、ストック型人材が固定費となるのに対して、フロー型人材は、業務の繁閑とともに変動する変動費的色彩を帯びているといえる。
プロブスト法
被考課者の日常の勤務状態、能力や性格に関する具体的な評語を列挙しておき、考課者が確信のもてる項目のみチェックしていく方法である。 長所・短所を表す評語が任意に並べられていることでハロー効果や論理誤差を防止できること、最終得点が考課者にわからないので作為性を排除し、公正が期せるなどの長所があるが、項目の選定やウエイトづけに手間がかかること、考課者の考課意欲を阻害することなどの短所もある。 人物明細書法ともいう。
分類法
あらかじめ職務の等級基準を作成し、職務を該当する等級基準に比較して格付けする職務評価の非量的方法の一つである。 分類法における等級基準は、どのような職務の間においても熟練度、責任、資格要件などが明確になるように作られる。 我が国では、手続きや評価方法が比較的簡単であり、理解もしやすく、費用もかからないためこの方法を採用する企業が多い。
併存型体系
基本給の項目が2つ以上あるもののうち、それぞれの項目が異なった型で構成されるものをいう。
ベース・アップ
賃金曲線(昇給曲線)上の昇給ではなく、賃金曲線そのものを上に移動させ、賃金表を書き換える昇給のこと。
ポイント制退職金
職能資格別等に一定の点数を定め、これに各資格などの在任年数を乗じて入社から退職までの累積点を算出し、これに1点当たりの単価を乗じて支給する退職金の方式。 退職時の基本給に左右されず、企業への貢献度によって退職金を決定できるというメリットがある。
法定外福利費
福利厚生のために企業が支出する経費で、企業の任意(若しくは労働組合との労働協約)に基づくものである。
法定福利費
福利厚生のために企業が支出する経費で、法律によって実施が義務づけられているものをいう。
ホーソン実験
エルトン・メイヨーやF.J.レスリスバーガーを中心とするハーバード大学の学者が1924年から1932年にかけて、ウエスタン・エレクトリック会社のホーソン工場で行った長期の実験。 この実験の結果、従業員の作業能率に重要な影響を与えるのは、照明などの物的環境や疲労、又は賃金などの非人間的な条件ではなくて、同僚や上司との間につくられるインフォーマルな人間関係であることが発見された。 これは、同工場の人事部長のディクソンが、労働者の労働能率増進のために能率増進の要因の研究をメイヨーに依頼したことが始まりである。