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H26年税制改正基本的考え方

平成26年度税制改正の基本的考え方

    •  わが国が直面する最重要課題はデフレ脱却及び日本経済再生との認識の下、安倍政権は、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」を「三本の矢」として一体として強力に推進してきた。

       こうした状況の下、企業等の投資行動を加速化させる等の観点から、「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)に盛り込まれている民間投資を活性化させるための税制措置等について、年末における通常の年度改正から切り離して秋に前倒しで決定した(「民間投資活性化等のための税制改正大綱」(平成25年10月1日))。

       現状の経済情勢については、「三本の矢」の効果もあり着実に上向いている一方で、景気回復の実感は中小企業や地域経済には未だ十分浸透していないと指摘されている。年末においては、景気回復の実感を広く行き渡らせるため、復興特別法人税の1年前倒し廃止等の「好循環実現のための経済対策」(平成25年12月5日閣議決定)に基づいた対応を行うとともに、秋の大綱に引き続き企業の積極的な投資行動を促すための措置、企業の交際費に着目した消費活性化のための措置、地域経済の活性化のための措置等を講ずる。こうした政策税制については、その政策効果について事後的にしっかりと検証を行うなどによりその有効性や必要性について国民の理解を得ることが重要である。

       また、税制改正に当たっては、このような足下の経済情勢への適切な対応が重要である一方、少子高齢化が急速に進む中にあって財政健全化を確保しつつ社会保障分野をはじめとした各種政策遂行に要する財源を確保することや世代間・世代内での格差を是正すること、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築すること等の中長期的な課題にも与党として責任をもって取り組むことが必要である。平成25年10月1日に、政府により平成26年4月からの消費税率引上げについて確認がなされたことも踏まえつつ、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」(税制抜本改革法)においても示されているこうした課題について検討を進め、所要の措置を講ずる。また、今後、内外の社会情勢の変化を踏まえつつ、担税力に応じた新たな課税について検討を進める。

       「地方・地域の元気なくして国の元気はない」という考え方の下、魅力あふれる地域を創ることができるよう、地方分権を推進し、その基盤となる地方税の確保に努める。その際、地方の独自税源を充実させるとの視点も重要である。

       さらに、東日本大震災からの復興について、その進捗状況を踏まえつつ、引き続き税制面からも強力に支援する。
      法人実効税率のあり方について検討を行った。わが国経済の競争力の向上のために様々な対応を行う中で、法人実効税率を引き下げる環境を作り上げることも重要な課題である。その場合、税制の中立性や財政の健全化を勘案し、ヨーロッパ諸国でも行われたように政策減税の大幅な見直しなどによる課税ベースの拡大や、他税目での増収策による財源確保を図る必要がある。また、産業構造や事業環境の変化の中で、法人実効税率引下げと企業の具体的な行動との関係や、現在の法人課税による企業の税負担の実態も踏まえ、その政策効果を検証することも重要である。こうした点を踏まえつつ、法人実効税率のあり方について、引き続き検討を進める。

       以下、この年末における主要項目について基本的考え方を述べる。

1 デフレ脱却・日本経済再生に向けた税制措置

  • (1)復興特別法人税の1年前倒し廃止
    • 経済の好循環を早期に実現する観点から、経済政策パッケージに盛り込まれた所得拡大促進税制の拡充や政労使会議での取組とともに、足元の企業収益を賃金の上昇につなげていくきっかけとするため、復興特別法人税を1年前倒しで廃止する。確実な成果を得るため、引き続き、経済界への徹底した要請などの取組を行うとともに、地方の中小企業等への効果を含め、賃上げの状況についてフォローアップを行い、公表する。

  • (2)民間投資と消費の拡大
    • 消費税率引上げに伴う経済対策と成長力強化のための総合的な対策が必要であることから、「日本再興戦略」に盛り込まれた民間投資を活性化させるための税制措置等について、通常の年度改正から切り離して前倒しで「民間投資活性化等のための税制改正大綱」を決定した。その中では、生産性の向上につながる設備等への投資を促進するための税制、民間企業等によるベンチャー投資の促進のための税制や、事業再編を促進するための税制を創設するとともに、研究開発税制を拡充することとした。また、賃上げをしていく企業を一層支援するため、所得拡大促進税制を拡充することとした。
       これらに加え、今般、消費の拡大を図る観点から、交際費課税の見直しを行い、大企業にも飲食のための支出の50%の損金算入を認める。また、秋の大綱では、設備投資につながる制度・規制面での環境整備に応じた税制として、耐震改修を促進するための税制の創設などを盛り込んだが、更に港湾の民有護岸の耐震化を推進するための税制の創設などを行う。更には、海外投資等損失準備金制度の延長により、引き続き重要資源の確保にも尽力していく。

  • (3)地域経済の活性化
    •  日本経済の真の再生には、地域経済の活性化を図る必要がある。このため、「民間投資活性化等のための税制改正大綱」では、地域経済を支える中小企業を支援する観点から、中小企業投資促進税制を拡充することなどを決定した。これに加え、今般、税制面で中心市街地の活性化やコンパクトシティの形成を支援する。

  • (4)国家戦略特区
    •  企業にとって活動しやすい環境作りの契機とするため、国家戦略特区において行われるわが国の経済再生に大きく寄与する事業について、特区に認定されなかった地域とのバランスに配慮しつつ、積極的に税制で支援する。今般、医療分野を中核事業として支援することなどを決定したが、今後、特区における具体的な事業が決まった後、引き続き検討する。
       なお、特区の事業が十分な効果を発揮するためには、国、地方公共団体及び民間事業者の緊密な連携が必要であり、事業推進のため、地方公共団体の自主的な取組が求められる。

 

2 税制抜本改革の着実な実施

  • (1)車体課税の見直し
    •  税制抜本改革法第7条第1号カの規定及び平成25年度与党税制改正大綱、さらには、「民間投資活性化等のための税制改正大綱」を踏まえ、経済情勢に配慮する観点から、消費税率引上げの前後における駆け込み需要及び反動減の緩和も視野に入れ、国、地方を通じ、車体課税について、以下のように見直すこととする。
      ① 自動車取得税については、消費税率8%への引上げ時において、平成22年度燃費基準を満たした自動車等の取得に係る税率を引き下げることとし、自家用自動車については5%から3%、営業用自動車及び軽自動車については3%から2%にそれぞれ引き下げるとともに、平成26年度までの措置であるエコカー減税の軽減率を拡充する。エコカー減税については、平成27年度税制改正において基準の切替えと重点化を図る。
       自動車取得税は、消費税率10%への引上げ時(平成27年10月予定)に廃止する。そのための法制上の措置は、消費税率10%段階における他の車体課税に係る措置と併せて講ずる。
      ② 自動車税については、平成25年度末で期限切れを迎える「グリーン化特例」について、対象車種にクリーンディーゼル車を追加する等の基準の切替えと重点化、拡充を行った上で2年間延長する。
       また、消費税率10%段階において、平成25年度与党税制改正大綱を踏まえ、自動車取得税のグリーン化機能を維持・強化する環境性能課税(環境性能割)を、自動車税の取得時の課税として実施することとし、平成27年度税制改正で具体的な結論を得る。その大要は、以下のとおりとする。
      イ 課税標準は取得価額を基本とし、控除及び免税点のあり方等について併せて検討する。税率は、省エネ法に基づく燃費基準値の達成度に応じて、0~3%の間で変動する仕組みとする。具体的な燃費基準値達成度の税率への反映方法等については、省エネ法に基づく平成32年度燃費基準への円滑な移行を視野に入れて検討を行う。
      ロ 環境性能課税の税収規模は、平均使用年数を考慮した期間において、他に確保した安定的な財源と合わせて、地方財政へは影響を及ぼさない規模を確保するものとする。
      ハ 自動車税(排気量割)のグリーン化特例については、環境性能割の導入時に、環境性能割を補完する趣旨を明確化し、環境性能割非課税の自動車に対象を重点化した上で、軽課を強化する。
      ニ 環境性能課税及びグリーン化特例の制度設計に当たっては、幅広い関係者の意見を聴取しつつ、技術開発の動向等も踏まえて、一層のグリーン化機能が発揮されるものとなるよう、検討するものとする。
      ③ 軽自動車税については、平成27年度以降に新たに取得される四輪車等の税率を、自家用乗用車にあっては1.5倍に、その他の区分の車両にあっては農業者や中小企業者等の負担を考慮し約1.25倍にそれぞれ引き上げる。
       また、軽自動車税においてもグリーン化を進める観点から、最初の新規検査から13年を経過した四輪車等について、平成28年度から約20%の重課を行うこととし、併せて軽課についても検討を行うこととする。二輪車等については、税率を約1.5倍に引き上げた上で、2,000円未満の税率を2,000円に引き上げる。
      ④ 自動車重量税については、エコカー減税を拡充するとともに、その財源の確保及び一層のグリーン化等の観点から、経年車に対する課税の見直しを行う。
       平成27年度税制改正において、現行エコカー減税の期限到来に併せ、エコカー減税の基準の見直しを行うとともに、エコカー減税制度の基本構造を恒久化する。
       自動車重量税については、道路等の維持管理・更新や防災・減災等の推進に多額の財源が必要となる中で、その原因者負担・受益者負担としての性格を踏まえる。また、その税収の一部が公害健康被害補償の財源として活用されていることにも留意する。

  • (2)地方法人課税の偏在是正
    •  地方税制については、消費税率8%段階において、地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図るため、法人住民税法人税割の税率を引き下げるとともに、当該引下げ分に相当する、課税標準を法人税額とする地方法人税(仮称)を創設して、その税収全額を交付税及び譲与税配付金特別会計に直接繰り入れ、地方交付税原資とする。なお、この偏在是正により生じる財源(不交付団体の減収分)を活用して、地方財政計画に歳出を計上する。また、地方法人特別税・譲与税の規模を縮小し、法人事業税に復元する。
       消費税率10%段階においては、法人住民税法人税割の地方交付税原資化をさらに進める。また、地方法人特別税・譲与税を廃止するとともに現行制度の意義や効果を踏まえて他の偏在是正措置を講ずるなど、関係する制度について幅広く検討を行う。

  • (3)給与所得控除の見直し
    •  給与所得控除については、税制抜本改革法において、そのあり方について検討することとされている。現行の水準は、所得税の課税ベースを大きく浸食しており、実際の給与所得者の勤務関連支出に比しても、また、主要国の概算控除額との比較においても過大となっていることから、中長期的には主要国並みの控除水準とすべく、漸次適正化のための見直しが必要である。
       このため、当面、特に高所得の給与所得者に係る給与所得控除の見直しを行う。
       具体的には、平成28年より、給与等の収入金額が1,200万円を超える場合の給与所得控除の上限を230万円とし、平成29年より、給与等の収入金額が1,000万円を超える場合の給与所得控除の上限を220万円とする。

  • (4)軽減税率
    •  消費税の軽減税率制度については、「社会保障と税の一体改革」の原点に立って必要な財源を確保しつつ、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入する。
       このため、今後、引き続き、与党税制協議会において、これまでの軽減税率をめぐる議論の経緯及び成果を十分に踏まえ、社会保障を含む財政上の課題とあわせ、対象品目の選定、区分経理等のための制度整備、具体的な安定財源の手当、国民の理解を得るためのプロセス等、軽減税率制度の導入に係る詳細な内容について検討し、平成26年12月までに結論を得て、与党税制改正大綱を決定する。

   

3 復興支援のための税制上の措置

    •  東日本大震災からの復興は政府・与党の最優先課題である。税制面でも引き続き復興を支援するため、起業や新設企業の誘致を図る観点から、復興特区制度における再投資準備金制度の要件を緩和するとともに、事業用資産の即時償却制度の延長、被災者の住宅確保のための復興優良賃貸住宅の特別償却制度の拡充・延長などを行う。
       また、東日本大震災に係る津波により甚大な被害を受けた区域のうち、市町村長が指定する区域における土地及び家屋について、固定資産税及び都市計画税を免除する措置等について、評価替えが行われる平成27年度に一般の措置に移行することとし、それまでの暫定的な措置として、適用期限を1年延長する。
       このほか、被災自動車等及び被災自動車等の代替自動車等に係る自動車重量税、自動車取得税、自動車税及び軽自動車税の非課税措置等の適用期限を2年延長する。

 
4 円滑・適正な納税のための環境整備

    •  税制に対する国民の信頼を確保し、公正な税制を実現するため、納税者利便の向上や課税の適正化などの環境整備を図っていくことが重要である。
       納税者の負担の軽減を図るとともに、早期かつ的確な納税の履行を確保する観点から、納税者の申請に基づき換価の猶予をできることとするなど、国税の猶予制度の見直しを行う。地方税の猶予制度については、国税の猶予制度の見直しや地方団体における実態等を踏まえ、引き続き検討する。
       税理士制度について、申告納税制度の円滑かつ適正な運営に資するよう、税理士に対する信頼と納税者利便の向上を図る観点から、税理士の業務や資格取得のあり方などに関し見直しを行う。
       行政不服審査制度の抜本的な見直しに合わせて、国民の権利利益の救済等に資する国税・地方税の不服申立手続の見直しを行う。
       復興特別法人税の1年前倒し廃止に伴い、納税者利便の向上の観点から、復興特別所得税額を法人税から控除できる仕組みに改める。
       また、税制を円滑かつ公平に執行するため、必要な定員の確保など税務執行体制の一層の充実を図る。

 

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