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平26年法律第64号

政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成26年法律第64号)

★概要のみ紹介

1 国民年金法の一部改正関係
1 年金個人情報の訂正手続の創設
① 被保険者等は、国民年金原簿に記録された自己に係る特定国民年金原簿記録(被保険者の資格の取得及び喪失、種別の変更、保険料の納付状況その他厚生労働省令で定める事項の内容をいう。)が事実でない、又は国民年金原簿に自己に係る特定国民年金原簿記録が記録されていないと思料するときは、厚生労働大臣に対し、国民年金原簿の訂正の請求をすることができることとされた(第14条の2関係)。
② 厚生労働大臣は、①の国民年金原簿の訂正に関する方針を定めるものとし、当該方針を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、社会保障審議会に諮問しなければならないこととされた(第14条の3関係)。
③ 厚生労働大臣は、訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る国民年金原簿の訂正をする旨を決定しなければならないこととし、当該決定をしようとするときは、あらかじめ、社会保障審議会に諮問しなければならないこととされた(第14条の4関係)。
④ 厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、被保険者又は被保険者であった者(以下「被保険者等」という。)の氏名及び住所並びに資格の取得及び喪失の年月日等の事項につき、国民年金事務組合、国民年金基金等に対し、必要な資料の閲覧若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社その他の機関若しくは配偶者若しくは世帯主その他の関係人に報告を求めることができることとされた(第108条関係)。
2 学生納付特例事務法人に関する規定の整備
 学生等である被保険者が学生納付特例事務法人に学生納付特例申請を委託したときは、当該委託をした日に、学生納付特例申請があったものとみなすこととされた(第109条の2の2関係)。
3 全額免除申請の事務手続に関する特例
① 厚生労働大臣から全額免除申請に関する事務を適正かつ確実に実施することができると認められる者として指定を受けた者(②において「指定全額免除申請事務取扱者」という。)は、所得が全額免除基準に該当する被保険者等からの委託を受けて、全額免除申請をすることができることとされた(第109条の2第1項関係)。
② 被保険者等が指定全額免除申請事務取扱者に全額免除申請を委託したときは、当該委託をした日に、全額免除申請があったものとみなすこととされた(第109条の2第3項関係)。
4 延滞金の軽減
 滞納した国民年金保険料等に係る延滞金の割合について、各年の租税特別措置法第93条第2項に規定する特例基準割合が年7.3%の割合に満たない場合には、その年中においては、年14.6%の割合については当該特例基準割合に年7.3%の割合を加算した割合とすることとされた。また、年7.3%の割合については、当該特例基準割合に年1%の割合を加算した割合(当該加算した割合が年7.3%の割合を超える場合には、年7.3%の割合)とすることとされた(附則第9条の2の5関係)。
〔解説〕滞納した保険料に係る延滞金の割合について、現下の低金利の状況を踏まえ、延滞税の利率設定を参考にしつつ、軽減するもの(平成27年1月1日施行)。
国民年金法のほか、厚生年金保険法、健康保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律などにおいても、同様の内容の延滞金の割合を軽減する改正が行われている。

通常の期間納期限の翌日から3月(労働保険においては2月)を経過する日までの期間〔軽減期間〕
改正前「年14.6%」「年7.3%」と「特例基準割合*1」のいずれか低い割合
改正後「年14.6%」と「特例基準割合*2+7.3%」のいずれか低い割合「年7.3%」と「特例基準割合*2+1%」のいずれか低い割合

*1 改正前の規定で用いる「特例基準割合」とは、各年の前年の11月30日を経過する時における日本銀行法第15条第1項第1号の規定により定められる商業手形の基準割引率に年4%の割合を加算した割合をいう(当該特例基準割合に0.1%未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)(改正前の国民年金法附則9条の2の5)。
*2 改正後の規定で用いる「特例基準割合」とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における短期貸付けの平均利率の合計を12で除して計算した割合(当該割合に0.1%未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいう(租税特別措置法第93条第2項)。

〈参考〉仮に、改正後の規定を、平成26年に当てはめると、通常の期間は「年9.2%」、軽減期間は「年2.9%」となる。

5 特定事由に係る保険料の納付等の特例
 被保険者等は、特定事由(国民年金法その他の政令で定める法令の規定に基づいて行われるべき事務の処理が行われなかったこと又はその処理が著しく不当であることをいう。)により保険料を納付することができなくなったと認められる期間を有するとき等は、厚生労働大臣にその旨の申出をすることができることとした。また、この場合において、厚生労働大臣の承認があったときは、当該期間について特例保険料(各月の保険料に相当する額の保険料をいう。)の納付を可能とする等の措置を講じることとされた(附則第9条の4の7~第9条の4の12関係)。

2 厚生年金保険法の一部改正関係
1 年金個人情報の訂正手続
① 1の1の①~③に準じた改正を行うこととされた(第28条の2~第28条の4関係)。
② 厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、被保険者等の氏名及び住所並びに資格の取得及び喪失の年月日等の事項につき、共済組合等に対し、必要な資料の提供を求め、又は銀行、信託会社その他の機関若しくは事業主その他の関係者に報告を求めることができることとされた(第100条の2関係)。
2 延滞金の軽減
 1の4に準じた改正を行うこととされた(附則第17条の14関係)。

3 国民年金法等の一部を改正する法律の一部改正関係
 若年者納付猶予申請について、1の3と同様の措置を講ずることとされた(第19条の2関係)。

4 厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律の一部改正関係
 厚生年金保険法の規定による諮問に応じた社会保障審議会の調査審議の結果として、事業主が、被保険者の負担すべき保険料を控除した事実があるにもかかわらず、保険料を納付する義務を履行したことが明らかでない場合に該当するとの意見があった場合には、厚生労働大臣は、当該意見を尊重し、遅滞なく、被保険者の資格の取得及び喪失の確認又は標準報酬月額若しくは標準賞与額の改定若しくは決定を行うこととされた(第1条関係)。

5 健康保険法等の一部改正関係
 健康保険法、船員保険法、独立行政法人農業者年金基金法、私立学校教職員共済法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律その他の法律について、1の4に準じた改正を行うこととした。

6 日本年金機構法の一部改正関係
 緊急の場合その他やむを得ない事由により本人の同意を得ることができない場合において、高齢者虐待の事実確認に関する事務その他の法令の定める事務であって、厚生労働省令で定めるものを遂行する他の行政機関又は地方公共団体に年金個人情報を提供することについて相当な理由のあるときは、年金個人情報を提供することができることとされた(第38条関係)。

7 国民年金の保険料の納付の特例
 平成27年10月1日から平成30年9月30日までの間において、国民年金の被保険者又は被保険者であった者は、厚生労働大臣の承認を受け、承認の日の属する月前5年以内の期間であって、保険料の徴収時効が過ぎた被保険者期間に限って、後納保険料(各月の国民年金の保険料に相当する額に政令で定める額を加算した額の保険料をいう。)を納付することができることとされた(附則第10条関係)。
〔解説〕現行の後納保険料の納付の規定に代わって施行されることになっている。現行の規定と異なり、納付可能な期間は、「承認日の属する月前5年以内」とされている(現行では、「承認日の属する月前10年以内」とされている)。

8 国民年金の保険料の免除の特例
 平成28年7月から平成37年6月までの間において、30歳から50歳に達する日の属する月の前月までに被保険者期間がある第1号被保険者又は第1号被保険者であった者であって本人及び配偶者の所得が一定以下のものからの申請に基づき、保険料の納付を要しないこととされた(附則第14条関係)。
〔解説〕若年層に限らず、全年齢層において非正規雇用労働者が増加している状況を踏まえ、現行の納付猶予制度(若年者納付猶予)の対象者を、「30歳未満の者」から「50歳未満の者」に拡大するもの。

9 経過措置
 この法律の施行に関し、必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の改正を行うこととされた(附則第2条~第9条及び附則第16条~第19条関係)。

この法律は、平成26年10月1日から施行される。
 ただし、次の規定については、それぞれ定められた日から施行される。
・1の4、2の2、5……平成27年1月1日
・1の3、3……平成27年7月1日
・7……平成27年10月1日
・8……平成28年7月1日
・1の5……公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日
・4……訂正決定等の実施は平成27年4月1日

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